研究成果公表

2025年01月30日(木)

救急•集中治療医学講座 佐藤 佳澄 病院講師が著者となる学術論文が国際誌「Critical Care」に掲載されました。

論文タイトル

Definitions, epidemiology, and outcomes of persistent/chronic critical illness: a scoping review for translation to clinical practice

著者名

Hiroyuki Ohbe, Kasumi Satoh, Takaaki Totoki, Atsushi Tanikawa, Kasumi Shirasaki, Yoshihide Kuribayashi, Miku Tamura, Yudai Takatani, Hiroyasu Ishikura, Kensuke Nakamura & J-STAD (JAPAN Sepsis Treatment and Diagnosis) Study Group

掲載誌

Critical Care

研究等概要

本研究では、集中治療室(ICU)に長期間入室する患者、すなわち Persistent Critical Illness(PerCI)または Chronic Critical Illness(CCI)の定義、疫学、アウトカムを包括的にレビューし、図1に示すとおりの結果を得ました。さらに、得られた知見を基に、臨床現場や患者・家族への情報提供を支援するためのリーフレットを提案しました(図2)。ICUに長期入室する患者が抱える高い死亡率や機能的障害、退院後の生活の質の低下を踏まえ、これらの患者への適切なケア方針の決定や情報共有をサポートするための実践的な方向性を提示しています。 *図3は、日本国向けの読者のために図2を和訳したものです。
医療技術の進歩により、ICUでの救命率は向上していますが、ICUに長期間入室した患者の中には、懸命な治療にもかかわらず当初の入室理由とは異なる要因で亡くなるケースや、著しく活動能力が低下してしまうケースが少なくありません。本研究は、このような状況に対する強い問題意識を背景に、PerCI/CCIに関する情報を包括的にレビューし、現状を明らかにしました。その結果、臨床現場における診療や患者・家族への情報提供に役立つ基盤的知見が得られています。

特に以下の点で特色と社会貢献が認められます:
・医療現場への貢献
PerCI/CCIに関する統一的な定義と疫学的知見を提供することで、さらなるPerCI/CCI研究の発展につながり、長期ICU患者の予後や生活の質の改善、根拠に基づくケアの促進が期待されます。

・患者・家族への貢献
治療後の生活などに関する情報をわかりやすく提示することで、適切な意思決定をサポートする実践的なツールを提案しました(図2、図3参照)。これにより、患者および家族が治療やケアに関する選択肢を理解しやすくなり、安心感を得られると考えられます。

参考画像

救急•集中治療医学講座 佐藤 佳澄 病院講師が著者となる学術論文が国際誌「Critical Care」に掲載されました。
図1
救急•集中治療医学講座 佐藤 佳澄 病院講師が著者となる学術論文が国際誌「Critical Care」に掲載されました。
図2
救急•集中治療医学講座 佐藤 佳澄 病院講師が著者となる学術論文が国際誌「Critical Care」に掲載されました。
図3