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秋田大学医学部保健学専攻並びに保健学科の学位記伝達式が行われました。

秋田大学医学部保健学専攻並びに保健学科の学位記伝達式が、保健学科棟大講義室で行われました。看護学専攻82名、理学療法学専攻19名、作業療法学専攻23名、博士前期課程8名、博士後期課程2名の皆様が学位記を手にされました。

皆様、ご卒業おめでとうございます。

以下、保健学専攻長 安藤秀明教授の挨拶文を掲載いたします。

【保健学科 学部生へ向けて】

昨年は、卒業式は実施できず、この学位記授与式のみ実施しました。例年は、ビューホテルで父兄と共に、学位記授与式及び、謝恩会を行なっておりました。今年は、本道地区体育館で、保護者の参加は制限されましたが、卒業式も実施することができました。しかし、卒業式についても、卒業生の半数が県外に旅立つ中、事前の十四日間の秋田における健康観察期間を要求され、事前調査では、参加を断念していた方も多かったようです。しかし、直前になってでありますが、緊急事態宣言地域以外は、十四日間の健康観察期間が緩和され多くの方が参加してくれました。

卒業式の会場は、体育館で、サークル活動の頃に想いを馳せた方も少なくなかったのではないでしょうか?さらに、学位記授与式は、これまで皆さんが4年間学び、長期間の実習を乗り越え、国家試験に対峙したこの校舎で開催することになりました。1年次の頃はここが、皆さんの授業の場であり懐かしいかもしれませんね。

余談でありますが、保健学科棟は今年の夏頃から、玄関やコモンズのあるA棟から順次3年かけて改築になります。この大講義室の改修は3年後になりますが、玄関は本日が見納めになると思います。

話は戻りますが、皆さんは、こういった研鑽を乗り越え、無事、本日を迎え、ご卒業おめでとうございます。

さて、皆さんの大学生活は、COVID19感染症の影響なくしては語れないと思います。特に、4年次の学び、実習をはじめとして、就職活動も含めて、これまでにない制限を受けての活動であったと思います。直近では、県外で就職する方々のいろいろな苦労をしたのではないでしょうか。入構制限から始まり、リモートあるいはオンデマンド授業、サークル活動、友人とのコミュニケーションもできなくなり、孤立してしまう状況が少なくなかったのではないでしょうか。実習もこれまでとは全く異なる様式を準備して実施されました。授業のみならず、皆さんの心のケアも含めて、チュートリアルの先生をはじめ、教員の皆さんありがとうございました。

制限された生活で、皆さんはどう過ごしていたでしょうか?これまでの生活は出来ませんでしたが、ゆっくりと自分の事を考える時間ができたのではないでしょうか。私ごとですが、これまで、毎週末は会議等で秋田にいることがなく、忙しく活動し、学会・研修会等に多く関わっていました。コロナ禍において、これらがほぼ全て無くなり、真に必要であるものを考える機会になりました。皆さんは、いかがだったでしょうか。忙しいとわからないものが、意外となくとも良いものや、ゆっくり暮らすことの価値も考えられるのではないでしょうか。

例年、卒業式では、医療の発達や社会構造による変化を伝えて、価値観をしっかり確認しながらという話をしていました。皆さんには、医療のみならず、生活様式が強制的に変更されざるを得ない状況に置かれました。ワクチン接種が始まりつつありますが、コロナ禍が収束するには、これまでの歴史を紐解くと大体4年ほど要し、その後、大きな社会変革が起こっています。これまでは、目標・計画を立ててそれに向けて準備、対応するといった形でした。しかしながら、現在は、世界中が試行錯誤しながらの政策・暮らしです。非常に不安だと思います。大きく変わったのは、コミュニケーションのあり方でしょう。医療は技術が重要ですが、コミュニケーションも重要で、保健領域では、かなりのウエイトを占めます。この辺りをどうしてゆくのかは、皆さんが体験し、考え、作り上げてゆくことになるのだと思います。ちなみに、私は、コミュニケーションの質はともかく、リモートの発達により、移動時間がなくなったので、会議はこれまでの3〜4倍になりました。コミュニケーションの量は増えた気がします。

さて、これから皆さんは、4月から現場で活躍することになります。中には、実習を十分体験できなく、心配している方々も少なくないかもしれません。それについては、病院管理者も理解している所であるので、きちんとサポートがあるはずです。

先ほども申しましたが、保健領域で一番求められるのは、しっかりした倫理観を持った支援です。技術という手段のみならず、コミュニケーションあるいは共感といった手段が大きな支援となることは少なくありません。

本学のアドミッションのポリシーは、高い倫理観を持って支援を行えることができる人物です。皆さんは、すでにそれを身に付けているのです。それを確認するために、実践に入るまでもう数日の猶予がありますので、その中で、自分の価値観を確認し、それに基づいた支援を展開してください。

コロナ禍という、世の中の激変するなかで学んだことは、きっと今後の皆さんの人生観に大きな影響を与えることになると思います。これは、数年してから初めて、自覚するのかもしれません。

最初に述べたように、保健学科も改修によって、外観のみでなく、内部構成も大きく変わります。学内の建築物は30年で更新になります。すなわち、30年後を見越した構造を教員の皆さんと考えています。皆さんも、3年後、時間のある時に保健学科に見学に来てください。そして、一緒に未来を語り合えたらと思います。

本日は、卒業おめでとうございます。これからが、本当の皆さんのスタートになります。

2021年3月22日
秋田大学医学部保健学科長 安藤秀明

【保健学専攻 大学院生へ向けて】

本日は、コロナ禍の中、無事卒業式を敢行することができました。全国的にも、3月初旬より感染者は減少してきて、秋田でも感染者は1ヶ月以上報告されていませんでしたが、1週間ほど前から徐々に感染者が増える傾向にあり、秋田県内でも連日感染者の報告がされています。当日まで、こうして皆さんと学びのまとめを一緒に迎えられる事を嬉しく思います。

さて、皆さんは、臨床実践しつつ、その中で自己課題を感じ、本学に集って頂いたと思います。情報収集法や研究手法を学び、これらの課題を解決する糸口を見つけることが出来たのでは無いでしょうか。ただ、1年前から蔓延したコロナ感染により、十分な研究ができなかったかもしれません。あるいは、研究期間の延長をせざるを得なかったり、内容変更をせざるを得なかったかもしれません。しかし、研究をまとめてみると、困難な思い出も、大きな学びであったと言えるかもしれません。

皆さんは、コロナ禍の自粛生活ではどのように過ごしていたでしょうか。幸い、私は出張や感染などで健康観察の自宅待機を課せられることはありませんでしたが、会議・学会などの活動は幸い(?)ほぼ全て中止あるいはリモートで行われたため、時間にゆとりを得ることができました。その中で、本当に必要なもの、価値のあるものを考えることができました。皆さんはいかがでしたでしょうか?

そして、コロナ禍により、大きく変化を強いられているのは、移動制限とコミュニケーションのあり方です。皆さんはもう慣れたでしょうか?これまでの歴史を振り返ると、100年に一度発生する、世界的感染症を人類が克服するまで4年を要しています。そして、その後は大きな社会変革が起こっています。皆さんは、コロナ禍が落ち着いてきた後、元の世界に戻ることを想定しているでしょうか?我々が、どう考えているかと関係無く、社会は変革してゆきます。その先に何が起こるかは、誰もわかりません。試行錯誤しながら進むしかないと思います。

そのために、一番重要なのは、収集できるデータを客観的に収集して、論理的に解釈する力だと思います。すなわち、皆さんが大学院で学んだ手法そのものです。コロナ禍の中、社会が急速に変貌する中で、社会生活と学問・研究は一心同体であります。皆さんは、客観的及び論理的というものを身につけて、4月から新しい社会のリーダーとして巣立つのだと思います。単に、研究を行なった、なになにの分野に詳しい、専門知識があるというだけではなく、科学者としてその言動・行動が社会のリーダーとして求められ、期待されると思います。大学院生活では、いろいろなことを学んだと思います。それを社会に還元して、新しい社会のリーダーとして活躍することを希望します。

卒業おめでとうございます。そして、これからの活躍を祈りまして、私の言葉とさせていただきます。

2021年3月22日
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻長 安藤秀明