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看護学講座 佐々木真紀子教授と中村順子教授による最終講義が行われました

看護学講座のお二人の先生、基礎看護学分野の佐々木真紀子教授と地域看護学分野の中村順子教授による最終講義が行われました。以下、看護学専攻主任の伊藤登茂子教授からの寄稿文を掲載いたします。

去る3月2日、令和3年度末で退職を迎える佐々木真紀子先生、中村順子先生の最終講義が行われました。会場は医学系研究棟第6講義室でしたが、折しもCOVID-19感染拡大の状況にあり、入室可能であったのは所属分野を同じくする教員などに限られ、多くの参加者はオンラインとなりました。集っていただいた100名余りの皆さまに感謝申し上げます。

佐々木先生は「看護とともに-実践・教育・そして研究-」、中村先生は「訪問看護師から研究者を経て再び訪問看護師に」と題して講演されました。お二人のご講演を拝聴し、そこに通底しているのは、こよなく看護を愛し、ご自身の歩んでこられた道のりに誇りをもち、さらには看護を発展させ未来に繋げていく人々への信頼感であったと感じました。貴重なご講演内容であり、録画をご覧いただくことができれば良いのですが、ここに拙文ですが概要を主観も交えて述べさせていただきます。

佐々木先生は自分史を中心に語られました。常に課題意識をもち、さまざまな人との出会いや状況との遭遇のなかでご自身の研鑽に努められ、そしてそれを看護教育や研究に繋げて来られました。本学での22年間、それ以前の教員歴も含めて、多くの看護師養成のみならず研究者の育成にも多大なる貢献をしてこられました。看護の発展に寄与する実績は数多く、看護職のアイデンティティーならびに健康管理に関する研究は発展的に積み重ねられ、後者については、自助努力のみではなく組織的な環境改善等の仕組みづくりが重要、とのご示唆を与えて下さいました。

佐々木先生の日本赤十字社幹部候補生養成研修会への参加、6カ月にわたるアルメニアでの教育的な国際支援、そして東京大学での学修など、僅かに選ばれた人しか経験できないことを経験されたことが、本学における教育やカリキュラム構築、研究、そして組織人としての考え方に反映されていたのではないかと腑に落ちる思いがいたしました。

中村先生は看護学生となって以降の看護との向き合い方の変遷、人々が物語を紡いで生きていることに看護がどう支援できるか、そして教育観について語られました。

臨床に在った時には病院中心の医療の中で、病気からの快復支援や心地良さを提供する看護を行っていた。しかし在宅看護を行うようになって、人々や療養環境の持つ力を感じるに至り、当事者のニーズは何か?を中心に据えて、その願いを叶えるための看護実践を構築するようになったとのこと。一人ひとりの療養者や家族が自分の先生と意識し、暮らしを支えることに専心、さらに経験を積み重ねるうちに経験知を形式知に代えていくために47歳で大学院生になったとのことでした。

熟練の訪問看護ステーション管理者の人材活用と育成というテーマを持ち、博士前期課程を母校である聖路加看護大学(現 聖路加国際大学)大学院、博士後期課程を青森県立保健大学大学院にて修められました。

本学には9年間、地域看護学分野を担当され、学部教育では地域看護、在宅看護、博士課程では質的研究の教育と研究指導に唯一無二のご貢献をされました。この間、2014年10月には地域包括ケア・介護予防研修センターを創設され、地域住民の相談対応、地域への啓発活動、看護職等の現任教育、そして学生の地域事業への参画促進と、多くの企画・運営を担って来られました。また、中村先生のことばとして「教育もケアリング。信じて待つことで成果を発揮できる学生たち。看護って何?という気持ちがあればきっと後で花ひらく時がやってくる。」が印象的でした。

語り尽くせませんが、最後に、2020年度に日本看護学教育評価機構に依る看護学分野別評価を受審するにあたり、佐々木先生は専攻主任として、中村先生は評価代表者として牽引され、「適合」を得ました。

ご教導いただいた全てに改めて深く感謝申し上げ、今後益々のご健勝をお祈りいたします。

令和3年度看護学専攻主任 伊藤登茂子

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