お知らせ
2022年12月06日(火)
衛生学・公衆衛生学講座 野村 恭子 教授が研究代表者となる学術論文が国際誌『J Atheroscler Thromb』に掲載されました。
論文タイトル
Female Reproductive Events and Subclinical Atherosclerosis of the Brain and Carotid Arteriopathy: the Ohasama Study
著者名
Wakana Sato, Kyoko Nomura, Michihiro Satoh, Azusa Hara, Megumi Tsubota-Utsugi, Takahisa Murakami, Kei Asayama, Yukako Tatsumi, Yuki Kobayashi, Takuo Hirose, Ryusuke Inoue, Tomoko Totsune, Masahiro Kikuya, Atsushi Hozawa, Hirohito Metoki, Yutaka Imai, Hiroyuki Watanabe, and Takayoshi Ohkubo.
掲載誌
J Atheroscler Thromb
研究等概要
本研究は秋田大学医学部衛生学・公衆衛生学講座が参加している岩手県の大迫研究のデーターを用い、秋田大学循環器内科佐藤和奏先生と野村恭子が共同筆頭著者となる原著論文です。我々は、女性のライフイベントが脳や頸動脈の潜在的な動脈硬化性変化どのような影響を及ぼすのか、妊娠、出産、初潮・閉経年齢、エストロゲン暴露期間と脳磁気共鳴画像(MRI)上の白質高強度(WMH)とラクナ、および超音波検査による頸動脈内膜厚(IMT)とプラークを統計学的に共変量で調整しロジスティック回帰モデルおよび一般線形回帰モデルを用いて検討しました。1998年時点で55歳以上の女性966名のうち,1992~2008年または1993~2018年にMRIまたは頸動脈超音波検査を受けた女性622名および711名(平均年齢:それぞれ69.2歳および69.7歳)を分析対象集団としました。妊娠回数(≧5 vs. 3)と分娩回数(≧4 vs. 2)の最高四分位と二分位(3 vs. 2)は,それぞれWMHと頸動脈プラークのリスク上昇と有意に関連していることを確認できました。初潮年齢、閉経年齢、および初潮年齢から閉経年齢を引いて推定したエストロゲン暴露期間については、いずれも、脳および頸動脈のアテローム性変化とは関連していませんでした。 出産が妊娠と比較して、よりWMHやプラーク病変に強い影響を与えていること、両イベントの大部分が重複していることから、妊娠およびより出産が、身体の生理学的変化に影響を与え、アテローム性環境を引き起こし、最終的に脳や頸動脈の動脈硬化のリスクを高める可能性が示唆されました。