お知らせ
2023年09月12日(火)
作業療法学講座 太田 英伸 教授 が代表著者となる学術論文が国際誌『Frontiers in Neuroscience』に掲載されました
論文タイトル
Designing artificial circadian environments with multisensory cares for supporting preterm infants’ growth in NICUs
著者名
Takeshi Arimitsu, Rika Fukutomi, Mayuko Kumagai, Hayato Shibuma, Yoko Yamanishi,Kei-ichi Takahashi, Hirotaka Gima, Yoshitaka Seto, Hiroyuki Adachi,Hirokazu Arai, Masakatsu Higuchi, Shohei Ohgi, Hidenobu Ohta
掲載誌
Frontiers in Neuroscience
研究等概要
これまで胎児が安定した生理状態を維持し、子宮内で順調に発育するためにサーカディアン・リズム(概日リズム)が重要であることが疫学・基礎研究の両方から報告されてきました。例えば、サーカディアン・リズムを乱すようなシフトワークに妊娠母体が繰り返し暴露されると、妊娠・出産に悪影響があり、低出生体重児の出生率も高まることが知られています。そのため、NICUでは早産児の発育を促すために、サーカディアン・リズムをもつ人工的な明暗サイクル(昼夜の区別ある光環境)が導入されています。しかし妊娠30週相当以下の早産児は、眼の発達が未熟で光を十分に知覚できないため、この明暗サイクルの恩恵を受けることが難しい状況があります。そのため、妊娠30週相当以下の早産児には、光環境以外の方法でサーカディアン・リズムを誘導する方法が必要です。そこで、早産児へのマッサージ等の身体接触、あるいは音環境の調整など、光以外の方法でNICUにサーカディアンな環境を導入することが重要となります。
多職種の専門家が共同して過去の知見を検討し、早産児の小児科・精神科医療における新しい治療技術の提案をサーカディアン・リズムの視点から行いました。具体的には、これまで早産児に有用とされていたカンガルー・ケアという保育法にサーカディアン・リズムを導入することを提案しました。