お知らせ

2024年04月25日(木)

形態解析学・器官構造学講座 板東 良雄 教授,医学部医学科6年生 船木 雅子 さんが著者となる学術論文が国際誌『Cells』に掲載されました。

論文タイトル

Galectin-3 plays a role in neuroinflammation in the visual pathway in experimental optic neuritis.

著者名

Masako Funaki, Junko Nio-Kobayashi, Ryoji Suzuki and Yoshio Bando

掲載誌

Cells

研究等概要

船木雅子(医学部医学科6年生/形態解析学・器官構造学講座)、板東良雄教授(形態解析学・器官構造学講座)らは小林純子准教授(前 北海道大学大学院医学研究院/現 長崎大学高度感染症研究センター)と共同研究を行い、重篤な神経障害を呈する視神経炎の動物病態モデルを用いて、視神経炎における炎症を惹起する分子機序を解明しました。

視神経脊髄炎スペクトラム障害(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders, NMOSD)は、しびれや視野障害などの症状が現れる自己免疫疾患の1つで30歳代後半から40歳代前半にかけて発症するケースが多く、男女比は1対9と女性に多くみられる病気です。NMOSDは主に視神経と脊髄において重篤な炎症が惹起されることによって神経機能が障害されると考えられていますが、その発症機序は未だよく分かっていませんでした。

本研究では、視神経炎(optic neuritis, ON)を呈する病態モデルマウスにおいて、Galectin-3という分子が炎症時に増加するミクログリアという脳内の免疫に関わる細胞において発現が上昇し、炎症を増悪させる分子として働くことを明らかにしました。

本研究成果により、病初期にGalectin-3の機能を阻害することでONにおける神経障害を抑制できる可能性が示唆され、Galectin-3を標的としたNMOSDの急性期治療薬開発に期待されます。また、多発性硬化症などの類似した病態を伴う疾患に対しても幅広く応用できる可能性も考えられます。

参考URL

https://doi.org/10.3390/cells13070612

参考画像

形態解析学・器官構造学講座 板東 良雄 教授,医学部医学科6年生 船木 雅子 さんが著者となる学術論文が国際誌『Cells』に掲載されました。
視神経脊髄炎の病態モデルでは視神経においてgalectin-3を発現するミクログリアが増加する。Galectin-3を発現しているこのようなミクログリアはNLRP3やcathepsin Dを同時に発現しており、炎症を増悪させる方向に働き、脱髄や視神経障害を惹起することが明らかとなった。