お知らせ

2024年08月01日(木)

器官・統合生理学講座 沼田 朋大 教授が著者となる学術論文が国際誌『Cellular Physiology and Biochemistry』に掲載されました。

論文タイトル

Role of Piezo2 in Schwann Cell Volume Regulation and its Impact on Neurotrophic Release Regulation

著者名

Chawapun Suttinont, Katsuyuki Maeno, Mamiko Yano, Kaori Sato-Numata, Tomohiro Numata*, Moe Tsutsumi*

掲載誌

Cellular Physiology and Biochemistry

研究等概要

ヒトの肌の状態は、生活の質や精神的な健康を反映します。ハリのあるきめ細やかな肌は外見だけでなく、自分の気持ちや社会的な交流を前向きにする効果があります。毎日のスキンケアにおいては、皮膚への接触刺激が肌の弾力や自律神経を介したリラックス効果があることは広く知られています。このしくみは、肌に存在する神経から放出される成分が、弾力のある肌を作ることが示唆されていましたが、具体的にどのようなメカニズムで肌に栄養をもたらす因子を放出しているのかは不明でした。

秋田大学大学院医学系研究科の沼田朋大(ぬまた・ともひろ)教授、佐藤(沼田)かお理(さとう・かおり)らの研究グループは、皮膚の接触刺激を受容する神経支持タンパク質のうち、一定の条件のもと発現が上昇する機械刺激受容イオンチャネル(Piezo2)があることを発見し、着目しました。

Piezo2 の発現の上昇の背景には、感覚情報を伝達するはたらきのある神経細胞にかかわるシュワン細胞*の分化*があることがわかりました。研究を進めた結果、シュワン細胞が分化すると Piezo2 の発現が上昇して、①細胞自らの大きさを感知して細胞内の Ca2+濃度をコントロールできること、②Piezo2 のはたらきが膨らんだ細胞をもとに戻す役割があること、さらに、③Piezo2 は適度な細胞の栄養因子の放出調節にはたらくこともエクソソーム解析*により見出しました。本研究は、機械刺激でシュワン細胞から栄養因子を放出する新たな役割を世界で初めて見出したことで、皮膚接触刺激が肌の健康につながる可能性を示した発見です。研究成果は、2024 年 7 月 8 日に欧州の国際科学雑誌『Cellular Physiology and Biochemistry』(査読あり)にオンライン版で掲載されます。

参考画像

器官・統合生理学講座 沼田 朋大 教授が著者となる学術論文が国際誌『Cellular Physiology and Biochemistry』に掲載されました。