お知らせ

2024年08月01日(木)

小児科学講座 野口 篤子 講師が筆頭責任著者となる学術論文が国際誌『INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR SCIENCES』に掲載されました。

論文タイトル

Genetic Analysis of SCN11A, SCN10A, and SCN9A in Familial Episodic Pain Syndrome (FEPS) in Japan and Proposal of Clinical Diagnostic Criteria

著者名

Atsuko Noguchi, Tohru Tezuka, Hiroko Okuda, Hatasu Kobayashi, Kouji H. Harada , Takeshi Yoshida, Shinji Akioka, Keiko Wada, Aya Takeya, Risako Kabata-Murasawa, Daiki Kondo, Ken Ishikawa, Takeshi Asano, Michimasa Fujiwara, Nozomi Hishikawa, Tomoyuki Mizukami, Toshiaki Hitomi, Shohab Youssefian, Yoshihiro Nagai, Manabu Tanaka, Kaoru Eto, Hideaki Shiraishi, Fumimasa Amaya, Akio Koizumi and Tsutomu Takahashi

掲載誌

INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR SCIENCES

研究等概要

小児四肢疼痛発作症は2016年に当研究グループが国内家系の解析を通じて疾患概念を提唱した乳児期に始まり小児期を通じて四肢の発作性の疼痛を繰り返す遺伝性疾患で、その原因は電位依存性ナトリウムチャネルNav1.9をコードする遺伝子SCN11Aの病的バリアントとした(Okuda H et al .2016)。本疾患の疫学や臨床像と病因をより明らかにするため本研究を計画し、日本国内の疫学臨床調査および病因候補である3つの電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.9/Nav1.8/Nav1.7)をコードする3遺伝子SCN11A/SCN10A/SCN9Aの遺伝学的解析を実施した。本研究グループは暫定診断基準を考案および参照し全国の診療施設から抽出した1597病院に対し郵送調査を実施、他にWebsiteや学会を通じて患者を募集し質問票調査と遺伝学的解析を実施した。その結果、血縁関係のない212名(家系)が患者コホートとして登録された。遺伝学的評価においてコホートの19.8%、6.6%、3.8%に、それぞれSCN11A、SCN10A、SCN9Aの病的バリアントが同定された。一方、これらの病的バリアントを有する患者のうち、診断基準を満たす患者の割合はそれぞれ89.1%、52.0%、54.5%であり、特にSCN11A病的バリアントを有する患者群において診断基準の合致率が高率であった。

本研究により初めて日本国内の小児四肢疼痛発作症の疫学、臨床像および遺伝学的特徴が明らかになった。また本研究により診断基準が提案されたが、このことは今後の正確な患者診断の推進に寄与すると考えられる。

本疾患の国内疫学調査を実施し、患者群の臨床症状のアンケートと遺伝学的解析を同時に行うことで本疾患の臨床的特徴および日本人の遺伝学的特徴を明らかにした。このような大規模な疫学調査は海内外で初めての試みであった。加えて本論文ではそのデータをもとに診断基準も提唱したことによって、今後の新規症例の診断や疾患概念・診療体制を確立する上での礎となることが期待される。

参考URL

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11241565/pdf/ijms-25-06832.pdf

参考画像

小児科学講座 野口 篤子 講師が筆頭責任著者となる学術論文が国際誌『INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR SCIENCES』に掲載されました。