お知らせ

2024年09月10日(火)

小児外科学講座医員/分子生化学講座大学院生の林海斗先生が著者となる学術論文が国際誌『British Journal of Cancer』に公表されました。

論文タイトル

Cell-cell contact-dependent secretion of large-extracellular vesicles from EFNBhigh cancer cells accelerates peritoneal dissemination

著者名

Kaito Hayashi , Kurara Takagane , Go Itoh , Sei Kuriyama , Souichi Koyota , Kenji Meguro , Yiwei Ling , Tatsuya Abé , Riuko Ohashi , Masakazu Yashiro , Masaru Mizuno , Masamitsu Tanaka

掲載誌

British Journal of Cancer

研究等概要

細胞膜の突起から放出される大きな非アポトーシス性小胞は、large-EV(LEV)として分類される。しかし、同様の細胞外小胞であり既に研究が進められているエクソソーム等と比較し、LEV分泌の引き金や腫瘍における機能は未だ不明であった。そこで、癌細胞と間質細胞の組み合わせにおける細胞間接触依存性LEV分泌に注目した。本研究では、エフリンB(EFNB)を発現する癌細胞が、エフリンB型受容体(EphB)を発現する間質細胞と接触するとLEVを分泌し、この分泌はEFNBを介したRhoA/ROCKの活性化に依存している事を示した。
また、癌細胞の腹膜転移におけるLEVの機能について注目した。EFNB高値の癌細胞が腹膜中皮細胞(PMC)に接着するとLEVを散布し、EFNB-EphBを介したシグナル伝達により中皮間葉転換やリンパ管新生を含むPMC反応を拡大し、腹膜播種を増悪させる事を示した。

本研究では、癌細胞が間質細胞と接触した際にLEVの放出が促進されることを示し、さらにLEVを介してリンパ管新生や中皮間葉転換が促進されることで癌の腹膜播種が増強されることを明らかにした。細胞間接触によるLEV分泌の制御は、腹膜播種の進行を予防する有効な手段となる可能性がある。

参考画像

小児外科学講座医員/分子生化学講座大学院生の林海斗先生が著者となる学術論文が国際誌『British Journal of  Cancer』に公表されました。