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2022年09月30日(金)

医学部5年生 太田 友 さんが第50回日本女性心身医学会学術集会学生研修医セッションにおいて『優秀演題賞』を受賞しました。

我が国では、毎年子宮頚がんで亡くなる人が約3000名おり、ヒトパピローマウイルスワクチン(以下、HPVワクチン)が効果があるにもかかわらず、2013年から2021年までHPVワクチンの積極的勧奨が政府の方針により中断されていました。HPVワクチン接種率向上に向けて啓発活動が必要と考えられます。そこで、我々はHPV関連情報を提供する際の媒体(LINE vs. 郵送)による効果をランダム化比較試験により検討することにしました。

本研究は、秋田県の4大学の学生を対象に、若者のコミュニケーションツールであるLINEでの情報提供(LINE群)と郵送での情報提供(郵送群)によるHPVワクチン接種の意思および知識を比較した介入研究です。結果は、LINE群と郵送群では、HPVワクチン接種意思および知識に有意差を認めませんでしたが、群内比較ではLINE群においてHPVワクチン接種意思および知識のレベルが向上し、郵送群では知識のレベルが向上していることが確認されました。LINE、郵送ともに情報提供の効果が認められました。これらのことから、LINEと郵送という媒体の違いによらず両者とも知識の向上を促すことが示されましたが、LINE群では知識に加え、接種意思が向上しており、LINEを用いた情報の提供がより効果的と考えています。

今後、HPVワクチンの対象年齢は若年でありLINEといったSNSの利用率の高い世代であることやSNSは郵送と比べてコストが低いことという背景を考慮し、HPVワクチン接種率向上に向け積極的にSNSを活用することが望まれます。なお、本研究は秋田大学医学部衛生学公衆衛生学講座主任教授野村恭子の文部科学省科研費助成による挑戦的萌芽研究(19K22737)により行われました。