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2023年05月11日(木)

器官・統合生理学講座 医学科3年生(現 学部4年生)鈴木 太郎さんが日本生理学会第100回記念大会において、学部生ポスター発表「優秀賞」を受賞しました。

論文タイトル

Elucidation of the water secretion mechanism of Boui-ougi-to and its application to cancer therapeutic agents

著者名

Taro Suzuki, Haruna Saito, Kaori Sato-Numata, Tomohiro Numata

研究等概要

日本生理学会第100回記念大会において、本学学部3年生、鈴木太郎さんが学部生ポスター発表「優秀賞」を受賞しました。3年次の基礎配属における研究を配属期間後も続けることで、「防已黄耆湯の水分分泌機構の解明とそのがん治療薬への応用」というタイトルでポスター発表を行い、研究内容、プレゼンテーション、質疑応答の内容が総合的に評価され、受賞に至りました。

本研究では、むくみを取る漢方薬の水分分泌能の機能評価により、イオン流出路を発見しました。

  1. 研究グループ(鈴木さん(学部3年生)、齊藤さん(学部3年生)、佐藤(沼田)助教、沼田教授)は、防已黄耆湯が腸上皮で水分分泌を引き起こすことを見つけました。
  2. 阻害剤を用いることにより水分分泌はクロライドチャネルを介してクロライドイオン(Cl−)を流出させる一方、カリウムチャネルを介してカリウムイオン(K+)を流出させることが分かりました。
  3. これらの機能によって、腸の細胞から腸管内へプラスに荷電したカリウムとマイナスに荷電したクロライドが同時的に流出して、効率的に水の流出をもたらすことが水分分泌作用をもたらすメカニズムであることが明らかにされました。

これまで経験的に用いられてきた漢方便秘薬に科学的で客観的な証拠を示すことは、多くの疾患の治療・予防法に寄与するものとして期待されます。さらに今回の研究成果から、KイオンチャネルおよびClイオンチャネル活性化を促す防已黄耆湯は、がん細胞に対してアポトーシス死を引き起こす治療薬としても期待できます。標的分子を見つけることで分子機能解析結果を基とした創薬の開発が期待されます。

参考URL

https://www2.aeplan.co.jp/psj2023/pdf/posterawards.pdf

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