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2024年11月19日(火)

器官・統合生理学講座 医学科5年 鈴木 太郎さんが東北生理談話会第56回大会において、学生口頭発表「学生優秀賞」を受賞しました。

論文タイトル

漢方薬『防己黄耆湯』の水排出機構に関与するCl-チャネルの分子同定

著者名

鈴木 太郎,齊藤 遥菜,加藤 正太郎, 酒井 彩子,佐藤(沼田) かお理,沼田 朋大

研究等概要

東北生理談話会第56回大会(日本生理学会東北地区大会)において、本学学部5年生、鈴木太郎さんが、学生口頭発表「学生優秀賞」を受賞しました。3年次の基礎配属における研究を配属期間後も続けることで、「漢方薬『防己黄耆湯』の水排出機構に関与するCl-チャネルの分子同定」というタイトルで口頭発表を行い、研究内容、プレゼンテーション、質疑応答の内容が総合的に評価され、受賞に至りました。

本研究では、むくみを取る漢方薬の電解質・水分排出能の機能評価により、Clイオン流出経路の分子を発見しました。
1. 研究グループ(鈴木さん(学部5年生)、齊藤さん(学部5年生)、加藤さん(病院薬剤部)、酒井さん(技術系職員)、佐藤(沼田)助教、沼田教授)は、防已黄耆湯が上皮細胞で水分排出を引き起こすClイオンチャネルを見つけました。
2. 阻害剤、siRNAによるイオンチャネル活性抑制により水分排出は容積感受性クロライドチャネル(VSOR)活性を介してクロライドイオン(Cl−)を流出させることが分かりました。電気生理学的解析により、この経路はVSOR Clチャネルであることを見つけました。
3. これらの機能によって、細胞からのクロライド流出により、効率的に細胞の電解質や水排出をもたらすことがむくみ改善のメカニズムであること示唆しました。

これまで経験的に用いられてきた漢方便秘薬に科学的で客観的な証拠を示すことは、多くの疾患の治療・予防法に寄与するものとして期待されます。さらに今回の研究成果から、VSOR Clイオンチャネル活性化を促す防已黄耆湯の成分分析は、がん細胞に対してアポトーシス死を引き起こす治療薬として、今後、創薬の開発が期待されます。

器官・統合生理学講座 医学科5年 鈴木 太郎さんが東北生理談話会第56回大会において、学生口頭発表「学生優秀賞」を受賞しました。