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2026年06月03日(水)
生体防御学講座 安田 大恭 医学部准教授が「第92回日本生化学会東北支部例会」奨励賞を受賞し、受賞講演を行いました。
生体防御学講座 安田 大恭 医学部准教授が、令和8年5月29日に開催された第92回日本生化学会東北支部例会において、奨励賞を受賞し、受賞講演を行いました。
以下、安田医学部准教授の研究成果概要をご紹介します。
【脂質が血管・リンパ管を形成する分子メカニズムの解明】
リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid;LPA)は、血液およびリンパ液中に存在し、多彩な生理機能を担う生理活性脂質です。これまでにLPAには6種類の特異的Gタンパク質共役型受容体(LPA1~LPA6)が同定されています。安田医学部准教授は、LPAの第四受容体(LPA4)および第六受容体(LPA6)が協調的にG12/13–Rho–ROCKシグナルを惹起し、YAP/TAZを活性化することで、Dll4遺伝子の発現を抑制する血管新生の新規分子メカニズムを明らかにしました
(Yasuda et al., The Journal of Clinical Investigation, 129, 4332–4349, 2019)。本研究は、LPAによる血管新生制御の新規分子基盤を提示するものであり、本メカニズムを基盤とした病的血管新生の抑制法の開発を通じて、がんや加齢黄斑変性などの新規治療戦略への応用が期待されます。
さらに安田医学部准教授は、血管新生に続いて形成されるリンパ管形成機構の解明にも研究を展開しました。リンパ管にはリンパ液の逆流を防ぐため、リンパ管内皮細胞(lymphatic endothelial cell;LEC)が分化して形成される弁構造が存在します。LEC特異的LPA4/LPA6二重欠損マウスを用いた解析により、LPAがリンパ管の形成および弁の維持に必須の分子であることを明らかにしました。さらに詳細な分子解析から、LPAがLECに発現するLPA4およびLPA6を介して協調的に転写因子NF-κBを活性化し、リンパ管弁の形成と維持に必須な転写因子FOXC2の発現を誘導する分子メカニズムを解明しました(Yasuda et al., The Journal of Clinical Investigation, 136,e193364, 2026)。本研究の特筆すべき成果は、リンパ管弁形成においてLEC内のNF-κB活性が必須であることを世界で初めて明らかにしたことです。さらに、生理的条件下でNF-κBを活性化する細胞外因子がLPAであり、活性化されたNF-κBがLEC内でFOXC2の発現を誘導するという一連の分子連関を明確に示しました。本研究で明らかにしたリンパ管弁形成の分子メカニズムは、このようなリンパ浮腫の発症機序の理解を深化させるとともに、将来的な治療法開発への貢献が期待されます。


